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第5回 遠賀川を美しくする講演会

 2011年2月20日(日)芦屋町中央公民館で第15回遠賀川を美しくする講演会「ゴミ問題と資源循環型社会を考える&生ごみ処理講習会がILOVE遠賀川流域デポジット法制化を求める事務局の主催で開催されました。

 大雨のたびに上流域からペットポトルや空き缶などの大量のゴミが河口堰に集まり、堰の開放により、いっせいに海に流失して、海岸を覆い尽くすほどのゴミの山に、観光資源と漁業資源に甚大なる被害をもたらしている。

このゴミ問題の解決にはデポジット制度が必要と、同会は1998年から法制化を訴えてきた。

 2000年には全国の団体と協力して21万人の署名を集めて国会請願を行った。

2013年に容器包装リサイクル法が改正される予定。改正に向けて、ゴミの発生抑制(リデユース)、再使用(リユース)、再資源化(リサイクル)を促進し、循環型社会の実現を図るために「拡大生産者責任とデポジット制度」を導入するよう求める宣言文を採択し、首相ら関係閣僚に送る。

宣言文

1.     政府、国会、並びに各政党に「拡大生産者責任とデポジツト制度」を早期に導入するよう要請する。

2.     産業界は、社会的責任を果たすべく「拡大生産者責任とデポジット制度導入の施策」に賛同するよう要請する

当日は、
第一部として「資源ゴミのゆくえ リサイクルの現状と今後の方向性」~拡大生産者責任とデポジット(預り金払戻)制度~と題して熊本 一規氏(明治学院大学国際学部教授)の貴重なお話がありました。
第二部では「ゴミ問題を考える住民の連合会・宗像」代表 倉本 和子氏の「生ごみダンボール・コンポスト作り講座と実演」が行われました。

 

 

 資源ゴミのゆくえ リサイクルの現状と今後の方向性
~拡大生産者責任とデポジット(預り金払戻)制度~
熊本 一規氏(明治学院大学国際学部教授)

 

 税金で負担するゴミ処理は処理・リサイクルのことを考慮しない生産は、循環型社会には不適と指摘。ゴミの有料化に伴ってゴミは減少していない。かえって、不法投棄が増えている。分別することでゴミは減少したが何種類も分けることは高齢者や体の不自由な人には困難である。ゴミ有料化では解決できない。ヨーロッパなどでは処理費は生産者である企業が負担する。すると生産者は価格の中にリサイクル処理費を上乗せしなければならない。商品価格は高くなる。商品価格が高くなると商品は売れなくなる、企業は処理費のかさむ物は生産しない。しかし、日本ではリサイクル処理費の99%は税金負担。だから企業は処理費のかさむ製品でも作っている。そして最終、消費者も負担する。不法投棄がますます増える構造になっている、と話された。

 
 

 生ごみダンボール・コンポスト作り講座と実演
 倉本 和子氏  (ゴミ問題を考える住民の連合会・宗像代表

家庭から出されるゴミの約45%が生ごみ。生ごみのほとんどが水分。この生ごみをダンボールを使って簡単に処理できる取り組みを進めています。ゴミ袋代にしてもダンボールコンポストの費用は割安になっています。
生ごみから堆肥へ皆さんもやってみませんか。

 宣言文

大雨のたびに遠賀川上流域から河口堰に向かつて、ペットボトル・空き缶・発砲スチロールなど大量のごみが集まり、堰の開放によりいっせいに海に流出します。

漂着した凄まじいごみが浜辺を覆いつくし、観光資源と漁業資源に甚大なる被害をもたらしています。
 芦屋町民をはじめ流城住民は、これまで清掃活動を長きにわたって行ってきました。しかし「拾っても拾っても流れてくるごみ」に打ちのめされるのです。このような現象は、何も遠賀川河川敷や芦屋海岸だけに限らず、全国の山河、田畑、街並みにもポイ捨てされたごみが、自然景観を損ない環境破壊に拍車をかけています。

1995年に『容器包装リサイクル法』が制定され、生産者によるリサイクルの義務が明記されました。この法律が、免罪符となって使い捨て製品が大量に生産され、「作りっぱなし・売りっぱなし、消費者は使いっぱなし、そして大量リサイクル」という新たな現象が生まれ、ごみ袋の有料化に伴つてポイ捨てが増加しているのが現状です。

全国の自治体は、ポイ捨てされたごみの回収業務に追われ、また家庭から出されたごみ回収量と処理費用の増加に伴い、財政的負担に悩まされ続けています。
 現在、発生抑制(リデユース)、再使用(リユース)、再資源化(リサイクル)という3Rの推進が声高に叫ばれていますが、地球環境に負荷をかけ、資源を浪費するシステムから、真の資源循環型社会を目指さなければなりません。

そのためにも生産者は、生産・販売・消費の過程までの責任だけでなく、廃棄物となった製品の分別収集・選別保管・再商品化および廃葉処理まで社会的責任を持つことが求められています。いわゆる「拡大生産者責任」です。

併せてデポジット制度を導入することによって、回収率は急激に高まり、ポイ捨てはいっきに減少します。欧米諸国では早くからその効果が実証されています。

日本でも大分県姫島村は、26年前に独自にデポジット制度を導入し、90%の回収率を誇っています。またデポジット制度導入がインセンティブとなって、村民のごみ減量化と美化運動へと波及し、村民の環境意識が高まっているのです。

全国統一のデポジツト制度が導入されれば、日本の隅々までポイ捨てが無くなり、廃棄される製品の回収率が高まることはあきらかです。このように理にかなっている制度がなぜ法律化されないのでしようか? 

2013年に、容器包装リサイクル法が改正される予定です。改正に向けて、ごみの発生抑制、再使用、再資源化を促進し循環型社会の実現を図るために「拡大生産者責任とデポジット制度」を導入し、環境に負担のかからない社会を目指して、以下の2点を宣言します。

1.     政府、国会、並びに各政党に「拡大生産者責任とデポジツト制度」を早期に導入するよう要請する。

2.     産業界は、社会的責任を果たすべく「拡大生産者責任とデポジット制度導入の施策」に賛同するよう要請する。

2011年12月20日
                    第15回 遠賀川を美しくする講演会 参加者一同