遠賀川は鮭の遡上する南限の川です。 嘉麻市大隈には、日本でも珍しい鮭神社があり、毎年12月13日には『献鮭祭』が行われています。昭和53年、祭りの当日に遠賀川下流の遠賀郡水巻町伊佐座で大きな鮭が見つかり、約50年ぶりに鮭神社に奉納されました。 筑豊地区は昭和40年代まで石炭産業の置き土産として遠賀川は「ぜんざい川」と言われるくらい汚れていましたが、石炭産業の衰退で水洗炭がなくなり透明な川となったことが遡上の原因と思われます。 このことがきっかけで、新潟市村上市三面漁業組合から毎年受精卵を頂き、馬見山の山中で鮭のふ化・飼育を行い、流域ではほぼ毎年数匹の鮭が確認されています。 今年は嘉麻市やライオンズクラブなどから支援を頂き、立派なふ化・飼育場が完成し、稚魚が順調に成長しています。 放流の目的は、鮭が産卵のため4年後、無事にふるさとの川へ帰って来られるように遠賀川をもっときれいにしようという、河川環境教育の一環として行っています。 遠賀川には昔から鮭が溯上していました。嘉麻市大隈の人々は鮭を神様の使いとして尊び、12月13、鮭神社では境内の鮭塚に遠賀川を溯上した鮭を奉納し、「無病息災・五穀豊穣」を祈る献鮭祭が毎年行われていました。 しかし、長い間鮭は遠賀川にかえってきませんでした。しかし、1978年遠賀川下流水巻町伊左座で大きな鮭が帰ってきました。約50年ぶりに本物の鮭でお祭りをすることができ、氏子のみなさんは大変喜ばれたそうです。 その後、遠賀川に鮭を呼び戻そうと多くの人々が頑張ってきました。 そして、一昨年、青木宣人さんを中心に頑張ってきました皆さんが、「遠賀川源流サケの会」を立ち上げ、昨年11月には、新しいふ化・飼育場が完成、豊富な山水と新しい施設で、サケのふ化率97%になって皆さん喜ばれています。 12月13日の献鮭祭では、新潟県村上市三面川から4万個の鮭の発芽卵をいただき、青木さんをはじめ遠賀川源流サケの会のメンバーが大事に育ててきました。 卵は光が入らないように暗い所でふ化を待ちます。水温は10度前後、温度が高くなると死んでしまいます。温度管理が大変難しいと言われます。孵化したての稚魚は「さいのう」と呼ばれるきれいなオレンジ色の嚢をお腹に持っています。それを栄養に大きくなっていきます。「さいのう」が小さくなるとえさを食べ始めます。鮭の会の皆さんは毎食のえさをあげるのが大変。温度管理やえさのお世話に日々大忙しです。 皆さんに大事に育てられた鮭の稚魚は、なたね梅雨(3月ごろから)ごろから、川の水温が上がらないうちに川に放流します。今年もたくさんの皆さんに見守られながらサケの稚魚は旅たちました。春になって、あたたくなる遠賀川から、海水の冷たいアラスカ沖まで、これからサケの稚魚の旅が始まります。 今年は放流する時、雨が多く、放流する人間にとっては大変ですが、サケの稚魚にとっては恵みの雨、水量や水のにごりで外敵から身を守ることができます。 放流時「4年後元気に帰ってきてね」と呼びかけながら、児童・生徒は丁寧にバケツを川の中に入れて放流していました。「きれいでゴミのない川になるように、サケが帰ってこれるようにしたい」と多くの児童生徒が感想を話していました。 放流会場によっては、放流前に河川清掃や環境学習会などが行われ、広い広い青空の下、みなさんしっかりと学習をされていました。 また、今年度は多くの小学校・中学校で授業の一環として、サケの稚魚の放流や河川環境学習が取り組まれています。併せて身近に川を感じ、川の楽しさや川の怖さなども学習することができたと思われます。私たちの大切な遠賀川、みんなで守っていきましょう。今後ともよろしくお願いいたします。 |
これまでに鮭が帰ってきた場所です。 残念ながら昨年2011年は鮭が確認されませんでした。 |
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【ふ化・飼育場(馬見地区)】 | 【水槽とふ化器】 | 【鮭の受精卵】 |
【元気で泳ぐ稚魚(ふ化率97%)】 | 【昨年の放流風景】 |
3月4日 嘉麻市大隈 嘉穂水辺の楽校 遠賀川源流の森推進会議
しっかりとみんなでおじさん達に「ありがとうございました」とお礼を言われました。 |
6年生 女子 川のゴミを拾って、サケが帰ってくるようにがんばります。 |
嘉麻市立足白小学校 40人 *足白小学校は以前から青木会長の指導の下で校舎の廊下で3~6年生(4つの水槽で飼育)が約1200個の受精卵を頂き、ふ化飼育をしており、9割以上のふ化率で約千匹を放流しました。 ・6年生 男子 自分たちが育てたサケが無事に屏川へ帰って来るように放流しました。 |
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3月10日 嘉麻市 稲築 稲築親水公園でサケの稚魚が旅たちました。
主催 環境を考える会・いなつき河童共和国他